嘉永元年 (1848), 開国から明治維新という激動期の直前に写真が日本へ渡来した. 最初, 写真は蘭学の一項目として研究されたが, 文久2年 (1862) に長崎の上野彦馬, 横浜の下岡蓮杖が最初の職業写真家として開業する. その後, 写真は日本の近代化とともに発達してきた. 九州・熊本の冨重写真所は, 上野彦馬に写真を学んだ冨重利平により明治4年 (1871) に開業され, 現在も活動を続けている. 冨重写真所には4代に渡り, 受け継がれた多数の資料が保存されている. これは, 日本における写真の発達を体系的に辿ることのできる資料であり, また日本の近代化を検証するための貴重な資料でもある.