本総説は, ゼラチンに含まれるゾルフラクションの基本的性質, 硬膜反応性との関わりやその起源について概説し, 若刊の考察と今後の課題についてまとめた. また, ゼラチンを意図的に分解して調整された低分子量ゼラチンについても, その分子量領域においてゾルフラクションと近いため, 調製法, 特性や感光材料への応用について合わせてまとめた. ゾルフラクションは, コラーゲンの特定成分が分解され特異的な物理性や写真性を有し感光材料に大きな影響を与えるため原料や製法によりコントロールされているが, 他方通常のゼラチンを意図的に分解したり化学修飾を行うことにより, 目的とした写真感光材料の物理化学的および写真特性の研究開発も精力的に行われている. 今後, ゾルフラクションの一層の解明や機能性を付与した低分子量ゼラチンの開発は, 感光材料分野の重要な研究領域として取り組まれ続けると考えられる.