これまで, 写真用ハロゲン化銀微粒子は, 保護コロイドであるゼラチン水溶液中に, 効率の良い撹拌のもとで銀イオン水溶液とハライド水溶液を添加して調製されてぎており, その際臭化銀や塩化銀のようにハライドが単一の場合には, 結晶不整のない単結晶を調製できた. しかし, ヨウ臭化銀や塩臭化銀の様な混晶の場合は, 粒子成長中に双晶転位及び刃状転位が発生した. これらの結晶不整は, 銀イオン及びハライドイオンを, 水溶液ではなく, ハロゲン化銀微粒子の形で添加し, オストワルド熟成によって粒子成長を起させる事によってその発生を完全に防ぐことができた. その結果, 混晶の結晶不整の制御が可能になり, 双晶転位と刃状転位の性質と, その写真特性に与える効果が明らかになった.