表面増強ラマン散乱 (SERS) は従来の蛍光検出法の代替法として期待されている. SERS検出法の適用において, 効率的な局在プラズモン共鳴を与える貴金属ナノ構造体の創成が不可欠である. 実用面では貴金属ナノ粒子の界面状態と凝集, 集積構造が重要であり, 貴金属ナノ粒子の合成法が探索されている. この点においてクリーンな環境で実施できるマイクロ波合成は有利である. 新規に開発された半導体HPA精密マイクロ波反応装置を用いてマイクロ波と化学反応系のマッチングを行い, Frensの合成法に準じ, 保護剤を用いない金ナノ粒子の生成をマイクロ波照射下で検討した. マイクロ波合成がSERSを目的とする金ナノ粒子の迅速な精密合成として有望であることを示し, SERSによる近赤外計測の特徴を従来の蛍光法と対比してまとめた.