我々のこれまでの研究で開発された分光反射率測定システムを用いて, イコンの分光反射率を測定し, その測定データをイコンにおけるメタマ領域の検出に応用した. メタマ領域とは, 分光反射率は異なるが, 等しい色度値を有する領域であり, 文化財におけるメタマ領域を検出することができれば, その文化財が以前に修復処置が施された可能性があるかどうかを知るための手段となりうる. 本論文では, メタマ領域検出のための手法を提案し, テストチャートでの検証の後にイコンの分光反射率測定結果に適用した. 提案手法では, 色度値と分光反射率とから計算されるメタメリズムの程度を表すための単一尺度を導入した.実験結果では, 提案手法の有効性を確認できた一方で, 検出されたメタマ領域が真であるかは科学的あるいは化学的検証が必要であることが示された.