(1)乾湿材による混合乾燥への適用 金時豆を対象に、乾湿材の混合乾燥法について、予備的な実験を実施した。この結果から、次のことがわかった。 1)乾湿材混合による貯留時間と水分移動の関係は、貯留初期には指数関数的に接近する。湿材の水分域により2次または1次関数として乾燥速度の計算ができる。 2)乾湿材間の水分移動速度は、乾湿材の混合比率や平均含水率差並びに吸湿熱による昇温効果に影響される。 3)乾湿材間の高い含水率差での確認データから、低い湿材含水率の材料および混合比率を変えた場合についての予測計算が可能であると思われる。 4)収穫時の湿材の含水率は多様であり、水分域により乾燥主体・貯留乾燥・貯蔵主体などの利用法がある。 (2)実用化への検討 混合乾燥は、良質な乾材の準備ができれば、混合と分離操作を加えるだけで乾燥ができる。省エネルギ・騒音防止などの有利な面がある。しかし、多量の乾材を必要とするので、低価格の材料が多量に確保できるかの問題を抱えている。今回乾材として直径1mm程度, 含水率約5%のタピオカを供試したが、乾燥後の分離や吸湿材としては理想的な資材と思われる。一方、金時豆のように粒径差のある湿材に適用すると、コンテナなどの貯留槽への投入時に均一な混合が得られにくいという課題が残されている。これに対し、比較的粒径の大きい穀物として、安価な麦類の利用が考えられる。乾材としての適性(物性値など)の検討や利用済み資材の飼料としての活用を解明する必要があろう。