1998年,中国で制定された「社会団体登記管理条例」で規定される「社会団体」とは,「中国国民が自主的に組織し,会員の共同意志実現のため,その定款により活動していく非営利性社会組織」であり,1999年末現在136,841団体が存在する.社会団体の特徴について,これまでの先行研究では,市民社会へ向けての障害や,団体の「半官半民」性を断片的に論じるものが多い反面,その成因に関係する政治経済体制や歴史的要因を,欧米における枠組により単純化する傾向がみられる.社会主義体制における社会分業の一機能として,その歴史を開始した中国の社会団体は,元来多様な要素を含んでいた.法制度,内部管理問題,政府との関係など,社会団体が現在抱える問題は,この多様性に起因している.本論文では,社会団体の設立年と設立数の変化に着目し,時系列に社団設立の傾向と特徴をとらえ,背景及び成因について分析していく.