本稿は自然環境保全分野のNPO・市民活動団体の長期継続要因に関する研究成果である.長期継続的な市民活動に関する調査研究及び日本の自然環境保全活動の歴史的展開を鳥瞰した後,国内における当該分野の長期継続団体150件に対するアンケート調査結果(回答数68件)を分析した.調査結果から明らかになった点は以下の通りである.(1)担い手組織の多くは,会員数・予算とも小規模で,無償スタッフによって運営されている.(2)自然環境保全団体の長期継続要因の主要な要素には,理性,感性,組織運営,活動特性,社会的要素,地域性,日常性,体験性がある.最後の3項目は,「地域生活密着性」という呼び方でまとめられる.(3)理性と感性は対立的な要素だが,「実践体験」が両者を結びつける.(4)「伝達」は,組織内外における情報共有を通して,意識共有,共感を促進する.(5)目的達成という視点から見た非営利組織の成長は規模の拡大とばかりは言えず,企業進化論とは異なる展開モデルが想定できる.