これまで日本では,非営利組織の自立性について,現場の実践的な見地からその重要性について指摘がなされてきた.アメリカを中心とした先行研究では,複数の財務指標を用いてNPOの脆弱性を評価したり,事例研究から団体の変化を記述したりしながら,理論的かつ実証的な分析がなされている.一方,日本においてはいまだそれらの議論や検証はほとんどなされていない.そこで本論ではNPO法人が資金獲得を行っている財源の多様性に着眼し,全国のNPO法人の財務データを用いてHHIを算出し,被説明変数として用いた.説明変数には,活動分野や団体の活動規模,活動年数や所在地などの団体属性や地理的条件を考慮した.トービット・モデルによる推定を行った結果,活動分野によっては資金獲得を行う財源の多様性が低くなっている一方,支出規模,活動年数,そして所在地特性によって多様性が高まっていることが示された.