文学館という機関は日本近代文学研究者に対する専門図書館としての役割を担っている.しかし文学館ではオンライン検索の普及が遅れており,検索システムを実現化している例はそれほど多くはない.12館の文学館において公式サイトでのオンライン検索システムの提供が行われているが,それらは例外的なものであり,(1)所蔵資料の特殊性,(2)孤立したシステム,などの問題を抱えているのが現状である.文学館のオンライン検索の課題としては,(1)公式機関としての信頼性,(2)存在情報の公開,(3)所在情報の公開,(4)詳細な解説の付与,などに注意を払う必要がある.オンライン検索システムの発達を含め,文学館は日本近代文学研究に関する専門図書館としての機能を充実させていくことが求められる.