このようにして剛体トロリー取設工事は昭和41年3月, 曳行台車はその翌年2月に工事完了した。つづいて4月より水槽試験を再開した。抵抗試験では従来の自記電流記録計による方法を改め磁歪式検力計のあとにアナコン素子を応用した低域ろ波器 “LPF” を採用し, その出力信号を自動平衡型記録計に導いて模型船の抵抗を記録し, 試験精度の向上を期した。当初試験の再現性はよくなかつたが, 計器の使用法, 走行時間間隔, 模型設置方法を改良し, 試験に習熟するにつれ再現性もよくなつた。図12aは従来の自記電流記録計と今回の方法で同時計測を行つた結果で実験点は同図bのフルード数0.1に対応している。LPFによつて記録の変動を少なくし, 読みとり誤差を少なくすることが可能となつた。また同図bは両記録計による同時計測の比較 (SR 98×NB) とLPFによる試験の再現性 (SR 98×R4) を調べたもので両船とも C B=0.8, L =2.8mタンカーである。このように現在ではほぼ満足できる抵抗試験を行なつている。しかし試験精度をさらに向上させるため, 現在進めている計測部レール新替工事の完了が待たれる。