TMCPにより製造された降仇点40kgf/mm2級の船体用高張力鋼板 (YP40鋼板) を, 船体の主要構造部材に適用するに当り, 船殻の破壊靱性確保の観点から, K 概念による手法を適用して, 各グレードの各構造部材への使用区分と, それらの溶接継手部に必要な破壊靱性値などについて, 検討・評価した。 YP40鋼板のHT係数を0.70および0.68に設定して検討し, 概略以下の結論が得られた。 (1) YP40鋼板の使用区分に関して : 現行IACS規則による使用区分により, 建造実績の多いYP32・YP36鋼板を使用した船殻と, 破壊靱性確保の観点からの信頼性が同等になるようにするためには, 下記事項が指摘できる。 (1) HT係数を0.68とした場合, クラスII・III・IVでのグレードAH40の使用できる最大板厚を, 現行IACS規則による使用区分よりも5mm程度減じることが望ましい。なお, HT係数を0・70とした場合には, 現行IACS規則による使用区分通りでよい。 (2) グレードDH40・EH40に対しては, HT係数を0.70あるいは0.68のいずれにしても, 現行IACS規則による使用区分通りでよい。 (2) YP40鋼板自動溶接継手部 (Depo, FusionLine, HAZなど) に必要な靱性値に関して : 船殻の重要部材 (強力甲板や船側外板など) での大入熱溶接継手FusionLine部 (最靱性劣化部) を対象とし, かつ, HT係数が0.68の場合であっても, AH40 : v E 20℃≧4.0kgf・m DH40 : v E 0℃≧4.0kgf・m EH40 : v E -20℃≧4.0kgf・mが満足されていればよいといえる。