(1) 実験結果はハルの長周期動揺については, 制御によって顕著な減少が見られた.また, 制御に必要な制御力は通常値で排水量の1/80であった. (2) テンドンの曲げについては, 短周期応答の成分が大きく, 顕著ではないが長周期成分の低下が認められた.曲げに関して長周期成分が顕著でないことについては, 想定した実機の水深が500mでテンドンの長周期応答がまだ著しく現れる水深ではないこと, 模型のテンドンが材料の関係から相似則に示される値より軽かったこと, 模型テンドンの上下端はユニバーサルジョイントであったことなどが考えられる.事前の有限要素法解析からは実機ではかなりの応力が出るとの結果が得られている. (3) 短周期成分については, ハル動揺, テンドン内力ともに若干増加する傾向にあった.これは制御系全体を通じて, オフライン同定の精度, フィルタの性能, 離散化の効果などを通じての総合的な影響によるものと考えられる.数学モデルは常に実際のシステムに対して誤差を含んでおり, 特に水中では対象のダイナミクスに不確定の部分があるので, モデリングの誤差に強いロバスト性が必要であると思われる. (4) ステップ状変位の追従実験から, Augerのラテラル係留のように作業時の短時間の支援用として応答制御を利用する可能性もあると考えられる.また, 海象変化による応答増大を一時しのぐための利用法も考えられる.