本論文では, 長辺方向に面内圧縮荷重を受ける矩形板を対象として, 有限要素法を適用した弾塑性大たわみ動解析を実施し, 2次座屈に伴って発生する飛び移り現象を再現し, 以下の知見を得た。 (1) 弾性変形する範囲内では, 負荷過程の飛び移りは, 静的平衡経路の極大点で発生する。この場合, 初期座屈モードよりも2次高次のモードへ飛び移る。 (2) 除荷過程の飛び移りが静的平衡経路の極小点で発生する場合には, 2次低次モードへの飛び移りとなる。これとは別に, 1次低次モードへの飛び移りが, 荷重の急減を伴って発生する場合がある。 (3) 弾塑性変形する場合, 最終強度後の耐力が低下する過程で, 飛び移りが発生することがある。これは, 塑性変形が板の局部に集中し, 他の部分では弾性的な除荷が発生するためである。 (4) 初期座屈モードの初期たわみは, 2次座屈モードのたわみの発生を妨げて, 2次座屈強度を上昇させる。逆に, 2次座屈モードの初期たわみは初期座屈の発生を遅らせる。 (5) 辺に沿っての回転拘束および板幅中央が圧縮となる溶接残留応力は, 2次座屈強度を低下させる。