本論文では, 前報のFolding Typeに引き続き, Side Sliding Typeのハッチカヴァーを対象として, 青波荷重に対する崩壊挙動と強度について検討した。 対象としたのは, Panamax SizeおよびCape Sizeのバルクキャリアのハッチカヴァーで, それぞれICLL規則およびIACS UR S21規則に従って設計されたもの各1体づつ, 合計4体である。 まず, 有限要素法による弾塑性超大変形解析を実施し, 基本的には上板が防撓パネルとして水圧と全体曲げによる面内圧縮荷重のもとで崩壊することが引き金となって, ハッチカヴァーが塑性崩壊することを明らかにした。上板の崩壊は, 多くの場合局部パネルの座屈発生を伴っている。 IACSタイプのハッチカヴァーに関しては, 得られた崩壊荷重は腐食予備厚がない場合でも, IACS規則の定める設計荷重を上回っていることが確認された。 つぎに, ハッチカヴァーを直交異方性板と見なして求めた弾性の水圧~応力関係と, ハッチカヴァー上板を防撓パネルと見なした場合の水圧と圧縮応力で表した最終強度相関関係を用いて, 崩壊荷重を近似的に推定する方法を提案した。 本推定法による崩壊荷重が, 有限要素法解析の結果と比較的よい相関を示すことを確認した。