昭和15, 17兩年度北鮮地方のテウセンカラマツ種子にカラマツタネバチ,カラマツタネバへ,マツマダラメイガの3種害蟲が寄生し,かなり激しい被害を與へたのであるが,之等の經過及被害状況を見るに 1. カラマツタネバチは1年1世代のものが大部分なるも1部は2年1世代をとり,1毬果への寄生數は李均5~13匹,カラマツタネバへ及マツマダラメイガは1年1世代で大抵の場合1毬果へ1幼蟲である。 2. 17年産の健全種子はその22~66%のものが3種害蟲に喰害され,その毬果への寄生状況はカラマツタネバチは80%,カラマツタネバへは11%,マツマグラメイガは9%であるが粃を除いた健全種子への3種害蟲の夫々の喰害率はタネバチ9~27%,タネバへ13~21%,メイガ1.2~20%である。 3. イ カラマツタネバチは15年の方が發生はげしく, 1毬果中の種子に對し50~100%の寄生率を示したが, 17年は10~50%を示しだ。 ロ,風選種子には20%程の本種寄生種子の混入をまぬがれない。 ハ,越冬期の1月~3月に到る間に本種幼蟲は約30%の死蟲率を示す。 ニ,二硫化炭素,クロールピクリンの2書夜以上の燻蒸によつて本幼蟲は死滅するも種子も亦發芽力を失ふ。 4. イ,カラマツタネバへの17年に於ける寄生率は最低6%,最高60%平均10~2%臺であつた。 ロ,本幼蟲の寄生を受けた毬果はその内健全種子を殆んど全部喰盡される。 5. イ,マツマダラメイガの寄生率は10%以下であるが,その喰害は完熟する迄には健全種子の50~100%を加害する。 ロ,本幼蟲はテウセンカラマツの幼齢木の新梢部を喰害して棺部を死枯せしめる。