この研究は,縦圧縮試験でもとめられるヤング率と圧縮強度から単純木材梁(両端支持自由)の横断面内に分布する垂直応力及び歪曲線をFig.1のように仮定し,これによつて,梁の中央における塑性域の撓を理論的に計算したものである。その結果,この計算値とエゾマツ及びミズナラ材の中央集中荷重の梁における実験値とにおける適合度はかなり高いように思う。ただし.この場合,剪断応力による影響については (35) 式によつて殆んど無視でぎる程度のh/ l をあたえる必要がある。また破壊荷重附近における荷重点のメリ込み影響は材質によつて特性的に異るために,この理論で補正することは困難である。したがつて,理論的に計算される最大撓は,実際の梁における見掛けの撓よりかなり小さいが,実用上安全側の誤差と考えてさしつかえないであろう。