Acaia mollisima 樹皮タンニンを使用する鞣製過程中の粒子分布状況をその平均分子量並びに篩別分析により検討の結果,大粒子タンニンはコラーゲンと親和性が強いことが確認せられた。炭酸ガス気流中で抽出したアカマツ,ワツトル,マングローブ,クリ,カシワ,ミロバランの50°C保温に対する粒子分布の変化を比較した。その結果アカマツ,マングローブはその粒子分布の変化が著しく,カシワ,ワツトルはその変化が中間であることを知つた。つぎにゼラチン・タンニン反応につきワツトルタンニン溶液を用い, pHの変化によるタンニンの沈澱量を求め, pH 3.5~5.0までは略々一定量を生じ, pHによる影響が少ないことを確認した。つぎに5段階に分別沈澱を行い,その間の粒子分布をも併せ検討した結果,ゼラチンにより最初に沈澱するタンニンは比較的大粒子が多いと推定される。マングローブ・タンニンにつき粒子分布とゼラチンとの反応並びにゼラチンによる除タンニン液で鞣製試験を行い,ゼラチン沈澱処理により粒子分布を調製することも可能なることを知つた。前報ならびに本実験によりタンニンの粒子分布の差異がコラーゲンとの親和性に影響し,また植物タンニン剤の種類によりタンニン粒子分布が異なることを認めた。なお粒子分布は種々の因子により影響を受けるがこれらに関しては後報において述べる。 附記本実験を行うに当り終始御指導を頂いた井上吉之教授に深謝する。