落葉をlitter bagに入れて分解させた場合と自然状態で分解させた場合とで,その分解速度に違いが生じるかいなかを,ホオノキとアラカシの葉を用いて調べた。 林床から拾い集めた落葉は葉面積と重量を測定し,それぞれに番号をつけ,次の3っの処理方法で林床に設置した。(1)自然状態で放置,(2)上面だけをネットでおおう,(3)落葉をネットにはさんで放置。これらの落葉は定期的に回収し,重量と葉面積とを測定した。 両樹種とも分解が進むにつれて重量は減少した。分解初期では処理方法による減少率の違いはほとんどみられなかった。しかし,分解が進むにつれて,ホオノキ,アラカシとも自然状態で放置したものの重量減少が著しく大きく,ついで上面ネット,両面ネットの順に小さくなった。それらの1年間の減少率はホオノキでは80, 70, 45%であり,アラカシでは60, 57, 35%であった。 分解率を重量の減少率で表わした場合,自然状態で放置された葉は,分解が進むにつれて細かくなるため図収率が悪くなり,分解率は過大評価される。一方,ネットではさんだものでは,大型土壌動物の侵入が断たれ,それらによる摂食がないために重量の減少は小さくなり,分解率は過小評価されるおそれがある。従って,重量減少率だけから分解を求める揚合は,上の2方法の中間である上面をネットでおおった方法で求めるのがより適当であるように思われる。