1993年秋に北海道大学農学部附属苫小牧地方演習林内でナラタケの子実体(HUA93110)が採集された。子実体は広葉樹林内に倒れたイタヤカエデの腐朽根株上に発生していた。本菌は子実体の顕微鏡的特徴および北アメリカ産テスター菌株との交配試験によって Armillaria mellea (VAHL:FR.)KUMMER s.s.(狭義のナラタケ)と同定された。日本産の系統はその生殖行動(自殖交配のおいて何ら明瞭な交配反応を示さない)および単胞子分離菌株の培養的特性(菌糸体コロニーは初め綿毛状であるがのち角膜状となる)においてヨーロッパおよび北アメリカ産の系統と明らかに異なるが,アフリカ産の系統にきわめて類似している。