まず最初に,長野県内の年最大1・2・3日降水量時系列に存在する非定常性を原系列及び1, 2乗の移動部分標本系列の回帰直線の傾きから検証した.次いでそれにグンペル分布を当てはめた場合のその分布のパラメータ,すなわち尺度母数と位置母数に存在する非定常性を,移動部分標本におけるパラメータ時系列の回帰直線の傾きから検証した.その結果,データの時系列及びパラメータの時系列の多くに非定常性を見ることができた.最後に,パラメータ時系列を回帰した直線上(外挿部分も含む)のパラメータの値を読み取り,それらのパラメータから決定されるグンペル分布から時間に依存した超過確率水文量,すなわち非定常確率水文量を算定した.得られた結果は,地点毎にまた対象水文量毎にその時系列特性は異なるが,ここでも上述の結果の当然の帰結として,多くの場合非定常性を認めることができ,計画対象時点毎に確率水文量を提示することができた.