本稿では, まず「高度情報化社会」という日本固有の発想は, どのような背景から生まれたのかについて考察する。そして, 情報通信技術の高度化をはじめ, 情報通信ニーズの高度化, 「情報の産業化」の進展などの要因を概観する。次に, 「高度情報化社会」論の国際比較を通じて, 日本のビジョンづくりの特質を分析する。最後に, 「高度情報化社会」の展望と課題について, 情報通信技術の革新と融合の高度化, 情報通信ニーズの高度化, 情報通信利用環境の高度化, 情報公害抑止水準の高度化の四つの視点から検討を加えている。その結果, 情報通信技術とニーズのマッチング, 情報公害の抑止などの課題の解決が「高度情報化社会」実現の鍵であることを指摘する。