本稿は, 米国およびEC諸国(とくに英, 仏, 西独)における高度情報化のための戦略と政策展開を検討する。ハイテク国際競争力の低下と貿易収支の悪化, 国防の脆弱化という事態に対し, 米国では国家安全保障という観点から基盤技術開発, 技術防衛, 規制緩和の推進が行われてきた。また, ECでは産業の地盤沈下に対してISDNを中心としたテレコム基盤整備で歯止めをかけ, さらに1992年の統合に向けて規制緩和に踏み切ろうとしている。しかし, いずれも一定の政策調整を余儀なくされているように, その成否については必ずしも見通しが立っていない。