オンライン検索の出現以来, 化学特許の検索の能力は著しく向上した。最近は, 複数ファイルの組合せ検索やファイル融合, 知的なインタフェイス, 光技術による大量データの蓄積・伝送により, 特許調査は一層簡便化しているように見える。しかしながら, これらの進歩にもかかわらず, 化学特許を複雑化するより本質的な問題がある。それは, 超包括的な構造表記(可換の置換基, 可変2価グループ, 可変繰返しグループ等の濫用)や仮空的な実施例の長大なリストにより, 化学物質の請求範囲を際限もなく拡げようとする傾向である。この傾向は, 特許データベースの作成者や利用者を悩ませるだけでなく, 真に有益な将来の発明を阻害することにもなる。