本稿は, 前年度本誌に連載された講座「高度情報化社会」を総括するセミナーで行った講演の記録である。まず, 我が国独自の高度情報化社会論の背景を整理し, その特質として技術決定論の傾向が強いことを指摘する。しかし, 技術革新を受入れる社会的コンセンサスを成立させるためには, 社会的ニーズを開拓すること, さらに通信制度の柔軟な対応を図ることが肝要である。21世紀を展望して, 我が国の課題は, 高齢化, 国際化, 情報化の三つのメガトレンドがもたらしつつあるともいえる。本稿では, 高度情報化社会への指向のなかで, 取り組むべき主要な課題を提示している。