ルネサンス以来の近代科学技術500年の歴史の中で,科学技術活動の中心地が,巨視的に見て,イタリア,イギリス,フランス,ドイツへと移動し,1930年代にアメリカへ移動していった事実は科学史研究者の間で意見の一致がある。19世紀後半から20世紀初頭にかけて活動の中心が欧州からアメリカへ移動していった過渡期には,欧米においてそれを特徴づける研究体制の変化が起こっている。本稿では,特に,物理学,化学,遺伝学を例にとり,主導的科学者と代表的科学技術文献の,大西洋をはさんだ競争と変遷について記述した。