16,17世紀に起こった近代科学技術は,産業革命とフランス革命を経て,19世紀前半に社会的な制度として確立する。科学技術の制度化の要因としては,政府や企業による継続的支援,大学や研究所などの実施機関の設立,科学者という専門職業集団の出現,教科書の刊行などによる大衆化·普遍化が挙げられる。科学技術の制度化の変遷と,活動の中心の国際的移動には相関が見られる。全部で4回の連載となるが,その第1回目として,18世紀から19世紀初めまでの科学技術制度化の歴史の初期について,イギリス,フランスを中心に述べる。