この論文の目的は,科学技術論文の全文データベースの電子的交換の可能性を検討することである。我々は論文の文書構造の規格(DTD:文書型定義)4件:ISO12083/JIS X0804,学術情報センターによるDTD,科学技術振興事業団によるDTD,日本化学会によるDTDについて,文書を構成するデータ項目:書誌情報データ項目,セクション(section,節),サブセクション(subsection),セクション・タイトル,サブセクション・タイトル,段落,図,表,参考文献リスト等々のデータ項目を比較検討し,四つの規格の間の対応関係を表に示した。その結果,データ項目名は異なるものの,分野に共通な基本的データ項目は一致していること,したがって,規格の間でデータ項目の対応関係を規定すれば,異なる規格の間であってもプログラムによる自動的な情報の交換と流通が基本的に可能なことを明らかにした。