米国議会図書館とその協力図書館(現在,米国内および国外の16の図書館が参加)がパイロットテストを経て2002年6月に開始したデジタルレファレンスサービスであるQuestionPointについて述べる。これはどのようにして図書館のレファレンスサービスをサイバースペースに移行できるかの問いに対するひとつの回答であり,また,新テクノロジー時代にあって,ライブラリアンが直面するチャレンジでもある。近年,WWWの成長がめまぐるしい。Webコンテンツの数は途方もなく増加を続ける。しかし,実際にはWebは複雑で利用しにくい。信頼性が高く,有用なコンテンツを見つけ出したいというユーザニーズを満たすには,従来のレファレンスサービスの手法は依然として重要である。すなわち,それはライブラリアンが情報ニーズをしっかり把握し,図書館の組織化された情報資源を駆使し,かつピアレビュー済みとも言えるレファレンス回答を提供できるからである。これら手法も意識したデジタルレファレンスの組織,管理および協力図書館のネットワークの構築,機能に関与する3つの構成要素;1) 協力図書館で構成されるコンソーシアム内で,該当図書館にレファレンス質問を割り振るローカルなネットワーク 2) さらにローカルなレベルを超えてレファレンス質問をグローバルなレベルで図書館に割り振るネットワーク 3) 過去のレファレンス質問の回答を保存し,それを現実のレファレンス質問に活用するアーカイブであるナレッジデータベース,について述べる。今後の方向とこれまでに得られた教訓にも触れる。