OECDの提唱で実現した国際科学プロジェクト:地球規模生物多様性情報機構(GBIF:Global Biodiversity Information Facility)を紹介する。プロジェクトは,地球規模での全生物の情報の電子化を進め,ネットワークで閲覧できるシステムの実現を目指す。生物多様性情報の基盤整備は,生物学の基本となる不可欠な課題であり,健全な資源管理や政策決定に必要な科学的な情報を提供する。当面,日本を含む参加国や組織は,自然史標本や生態学的観察データのデジタル化と生物名の電子化目録の編成を行い,それぞれが設置するインターネット上のノードから利用できるかたちで公開する。分散データベースのネットワーク化のため,生物多様性情報の検索プロトコルとしてDiGIR,データ項目としてDarwin CoreとABCDスキーマを採用する。日本は生物多様性に関する研究資料の整備に遅れをとってきたが,国内に分散データベースの拠点を設置・運用し,国内の標本資料のデジタル化と生物名のデータベース化を組織的に行うなど,国内の機関の総合的な活動に早急に取り組む必要がある。