本稿では,世界で研究開発費第3位,研究者数第2位となった中国において論文生産が急拡大している状況とその要因を明らかにし,また,日中共著関係がどのような学術分野で深まっているかを明らかにした。中国の論文の世界シェアは1990年から2002年にかけ3倍以上上昇し,科学技術主要国に近づきつつある。論文生産の拡大には大学の重点化政策が大きく寄与していると考えられるが,重点化政策以降,論文生産が重点大学に集中してきていることを明らかにした。そして,日中共著関係では,「材料」「化学」「工学」「物理」といった日中両国で世界シェアの高い分野で関係が深まっているが,世界シェアで中国が日本より高い「数学」では日中関係はあまり深まっていないことを明らかにした。