日本でも企業の不祥事が多発したため,金融庁は米国のサーベンス・オクスレー法(SOX法:企業改革法)に倣い,証券取引法の改正による日本版SOX法を制定しようとしている。これは企業の内部統制の仕組み強化を狙ったものだが,実質的には企業の業務遂行や内部管理の状況,取締役会の意思決定過程などの文書化を義務付け,会計監査時に公認会計士がチェックする制度である。内部統制がいかに密接に記録管理とかかわっているか,内部統制のための記録管理はどのような要件が求められるかにつき詳述し,併せて筆者が提唱している「内部管理のための記録管理」から「外部への説明責任のための記録管理」,すなわち「記録管理のパラダイムシフト」の代表例として説明する。