情報通信技術の発展に伴う知識経済社会の到来により,図書館を取り巻く環境は急激な変化を遂げつつある。図書資料の電子化とネットワークを通じた流通の進展は,図書館員に求められる知識やスキルを印刷資料を対象とするものから電子資料や情報通信ネットワークを対象とするものに拡大している。欧米では,図書館情報専門職教育の質保証と専門職資格の国境を超えた流動性向上を目指して,専門職養成カリキュラムの等価性や互換性を支える仕組みが構築されてきた。また,教育機関の名称を,library schoolからinformation schoolに変えるとともに,カリキュラムの内容を大きく変化させている。日本の「司書」制度はこの動きから取り残されている。本論文は,日本の図書館が,知識経済社会の基盤を支える組織として生き残るために必要な情報専門職教育の在り方と,それを実現するために必要な取り組みを提案する。