筆者らのグループでは,科学研究専用のクラウドシステムとしてNICTサイエンスクラウドを構築してきた。サイエンスクラウドは,高速ネットワークバックボーンであるJGN-X上に分散型のクラウドシステムとして構築されている大規模分散ストレージ,並列分散処理環境,スパコン,大規模可視化環境等のリソースを利用するデータ指向型科学研究の基盤として設計され,宇宙・地球科学分野を中心とするさまざまな科学研究分野での成果を挙げている。本稿では,サイエンスクラウドにより初めて達成された研究成果のうち,特に大規模データ処理および高速データ通信に関連する成果事例を紹介する。さらに,それらの成果を挙げるために用いられているクラウド技術について説明する。