小稿は,日本におけるアーカイブズ(文書館,永久保存記録)の情報の動向を,電子化・保存,共有化の視点から概観する.先行研究の成果に拠りながら,1)データの電子化が不均衡なこと,2)その電子化の多くが長期保存を考慮していないこと,3)利用者へ分かりやすい内容を伝えようとする努力がみられること,4)文書館相互の情報共有において資料目録の情報共有が意識されないこと,を指摘する.他方で新しい動きも見られる.国文学研究資料館史料館の実験からはじまった電子的検索手段(資料目録,索引,検索システム等)のデファクト国際規格EAD, Encoded Archival Description(符号化永久保存記録記述)の利用や,それらEAD データをつないで共有する日本のアーカイブズの世界でのオンライン総合目録の構想についても紹介する.