近年,人間の感性をもとにして小説を検索するシステムが開発されてきている。著者らもオンライン書評中の語を元として児童図書に感性パラメータの値を自動設定するシステムを開発してきた。このようなシステムでは,人間が感性パラメータとして積極的に高い値を付与した図書(特徴的な図書)をより選択的に検索できるような手法の開発がより望まれるが,従来の自動設定手法では特徴的な図書に対する値の付与は困難であった。そこで,本研究では,複数の書評中の語の選択手法および付与手法を組み合わせた実験を行い,どのような手法が特徴的な図書に対して最も適切にパラメータを付与できるかを比較した。図書1425 冊分の書評を対象として感性パラメータの自動設定実験を行った結果,(1)再現率には書評中の語数が大きく影響している,(2)自動設定に用いる語数は200 語から300 語程度を用いたときに最も再現率が高くなる,(3)機械学習手法も重回帰分析をもとにした付与手法も再現率には大きな差はないことが明らかとなった。