「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトでは、最初の課題として大学入試センター試験の自動解答を目指している。本稿では、そのうち歴史系科目を対象とした解答器作成の試みを報告する。我が国の大学入試は、基本的に高校教科書の範囲内から出題されることになっている。しかし、人工知能が機械的に解くという観点でみると、範囲内というのは曖昧さがあるうえ、潜在的に人間の常識や知能を前提にしている。我々はあくまで教科書内の知識のみを用いるアプローチで、どこまで自動解答が可能かを試みた。歴史系科目とセンター試験の特性を鑑みて、解答にあたってはあえて論理的な構造や解析を排除し、教科書内の表現が肯定的であることを前提に単語を基本とする知識でどこまで解答可能かを探った。