(1) 福神漬を分析しそれに繁殖する変質菌の分離検索と変質菌と浸透圧との関係を考察し,各種防腐剤の効果を試験した。 (2) 1, 2, 3級の各品質の福神漬を製造し25℃の定温器に貯蔵したが何れも短期間に変質するを認めた。 (3) 福神漬液の浸透圧は計算により1級品で約100気圧,2級品で約90気圧,3級品で約84気圧と見做され,変質を防止するには120気圧を必要とすると思われ,砂糖,食塩を加えて120気圧にするには福神漬の風味上より思わしくなく防腐剤を必要とする。 (4) 変質した福神漬より5種の酵母,2種のカビ類1種の細菌を分離したが,カビ類及び細菌は変質に関係少いと思われ,酵母5種につきJ. LODDERの方法により試験してTorulopsis属なる事を確認した。 (5) 防腐剤についてはカブリン酸,デヒドロ醋酸,ビタミンK3,パラオキシ安息香酸ブチルエステルが0.01 %にても効果があり,ニトロフラゾーン,クロロフィルソーダ塩は効果がなかつた。尚防腐剤の詳細なる試験は第2報にて報告の予定である。 終りに当り本試験に御指導を載いた増田所長,農工大学有働教授,教育大学小原教授,小林助教授に感謝の意を表します。