1. 製品は貯蔵中遊離脂肪酸の増加が大で,著しく味を悪くする。変色も脂肪の変質によるものと考えられる。 2. 新種子からの製品は古種子からそれに比し,蛋白質多く脂肪が少い。新しい製品では脂肪の酸価は至つて少い。粗灰分は新種子からの製品に多く,硬い製品に多いのは塩析に用いた塩化石灰が含まれるのに起因するようだ。 3. 割合乾燥状態に貯蔵しても室温では粗蛋白,粗脂肪の減少は予想以上に起る。殊に梅雨期から夏季にかけて水溶性窒素の減少とアルカリ可溶性窒素の増大は稍々著しいが,製品収率が2割減少する程の変化ではない。 4. 更に豆腐用原料として最適品種玉錦を用いて貯蔵試験を行つた結果,収率減少は水溶性窒素中のCaCl2による塩析性窒素の著減が梅雨期でもあり播種期である5~7月に起ることが確められ,この時期に比較的低温乾燥状態におくと可成り防止しうることが判明した。 終りに臨み材料を提供して下さつた中村熊太郎氏他業界の方々,貯蔵地下室を提供して下さつた当場農林講習所藤田技師に深謝の意を表する。