天然醸造正油の製造には長期間を要し,又窒素の利用率の低いことが欠点とされている。一方脱脂大豆を塩酸で分解し,ソーダ灰で中和して製造するアミノ酸を原料とする化学正油は窒素の利用率が高いが不快な分解臭があり,又原料中の炭水化物が殆んど利用されない欠点がある。醸造正油と化学正油との欠点を是正し,特長を生かして利用率も高く製造期間も短かく,しかも出来るだけ不快臭のない旨味のある正油の製造について数年来試験研究して来たが,相当な規模で製造し一般人の嗜好について調査したところ,実用に供する確信を得たので報告し参考に供する。