われわれの用いた試料はペクチン,水飴とも1種類であり,その性状,組成のちがい,ペクチンゼリーのかたさの程度(これは標準ゼリーを基準にして行つた),調製法により,さらにジヤム,ゼリーについても同一の傾向を示すかは今後検討を行いたいと考えているが,以上の結果を要約すると次の如くである。 (1) 砂糖単用によるペクチンゼリーの強度はRid-gelimeterによるSag(%)では70>65≒65(synthetic juice)≒60%S.S.であり,Delaware Jelly Strength Testerによるbreaking strengthでは70>65 (Synthetic juice)>65≒60%S.S.である。 (2) 砂糖・水飴混用(1:1)及び水飴ではsag, breaking strength とも砂糖の場合と異り,70>65 (synthetic juice)>65>60%S.S.である。 (3) 砂糖,砂糖・水飴混用,水飴間のゲル強度の差は70, 65, 60%S.S.とそのS.S.濃度が少くなるに従つて大きくなる。 (4) breaking strengthは砂糖の場合はpHによりその値を異にするが,水飴では広いpH範囲で一定の値を示した。 (5) sagによるゲル強度は砂糖ではS.S.が70, 65, 60%と濃度が少くなるに従つてその最高値のpHは酸性側に移行するが,水飴では逆に60, 65, 70%と濃度が高くなるに従つて酸性側に移行する。 (6) 3つの糖間についてsagによるゲル強度を比較すると,水飴,砂糖・水飴混用,砂糖の順にゲル強度の最強値のpHは酸性側に移行するが,その傾向は70, 65, 60%S.S.と濃度が少くなるに従つて顕著であつた。 (7) F.I.R.A. Jelly Testerによるゲル強度(torque)の測定はRidgelimeter用ゼリーグラスによつて行つたので,その値は正確さをかくと思われるが,大体sagと同じ傾向にあつた。 (8) なおゼリー調製法はacid-in-glass法によつた。