糖の転化に関し,2, 3の実験を行つた結果はつぎのごとく要約される。 (1) 糖の転化の極限は,pH3で沸騰水中では97.2%であつたが,低温で重合,分解などの副反応を避ければやや100%まで転化すると思われる。(37℃では116日後に99.6%まで転化した。) (2) 甘蔗糖と甜菜糖の間には転化に差異は認められない。 (3) 転化にもつとも影響を与える因子は温度であり,pHも無視できない。60℃における反応速度恒数は37℃の約20倍であり,またpH3ではpH4の約10倍の反応速度恒数である。 (4) 10~30%程度の葡萄糖の代替は,蔗糖の転化に対して,正負共触媒作用は認められない。