果実中の糖分定量におけるアミノ酸の妨害を銅還元法および次亜沃度酸微量法を用いて追求した。銅還元法に対してはシスチン,トリプトファンはかなりの誤差を与え,メチオニン,セリン,チロシンは比較的少なく,ヒスチジンはごくわずかの誤差を与えることが認められた。次亜沃度酸法に対してはすべてのアミノ酸が沃度を消費し,その中シスチン,チロシン,ヒスチジンおよびトリプトファンは特に著しく,ついでプロリン,メチオニン,リジンおよびオキシプロリンがかなりの消費を示した。果実汁中の窒素化合物は糖含量に比して比較的少ないので,銅還元法に対しては誤差は少ないが,次亜沃度酸法に対してはかなりの誤差を与えるから,糖定量に際してはアミノ酸および蛋白質除去の操作を必要とするものである。 文献について御協力頂いた食糧研究所 三浦洋技官に厚く感謝の意を表する。本報の要旨は1958年10月,日本農芸化学会東北支部大会で報告した。