(1) 茶貯蔵における窒素ガス封入の効果を明らかにするため,1958年一番茶手摘生葉による煎茶を用い,茶かん貯蔵,常圧の巻締,ガス封入などの処理を行い,低温(約5℃)と常温に3, 6, 12ヵ月貯蔵し,茶の品質,アスコルビン酸含有量,浸出液の色の変化などを調べた。 (2) 低温に貯蔵した窒素ガス封入区は1ヵ年後でもアスコルビン酸はほとんど分解されず,茶の品質も変化がないようであつた。。常温に貯蔵したガス封入区も,低温に貯蔵した茶かんおよび常圧の巻締区より,アスコルビン酸の残存率は高く,茶の品質はこれらと差がないようであった。 (3) 常温においた茶かん貯蔵区は3ヵ月後から変質が目立ち,また常温の巻締区は6ヵ月後からごくわずかに変質していたが,その他のものは変質というほどの差は認められなかつた。 (4) 以上の結果から,茶の貯蔵においても酸素の影響がかなり認められ,窒素ガスを封入すれば変質を,いちじるしく防止でき,特に高温に貯蔵した場合,その効果が大きいようであつた。 この研究を行うにあたり,ガス封入を実施していただいた明治乳業磐田工場阿部恒夫氏,冷蔵について便宜をはかつていただいた柴田産業株式会社に深く感謝する。