多段階尺度評定に見られる極端反応傾向(ERS)と性格特性の5因子との関連について検討した. ERSとは, 項目内容とは独立に尺度の極端な段階を好んで選択するという, 個人の反応嗜好性である. ERS尺度には, 知覚反応検査(PRT)と語反応検査(WRT)をもちいた. 合わせて534名の大学生から得られた3つのデータセットの相関分析を行った結果, ERSと辻らの5因子性格検査(FFPQ)の遊戯性, NEO-PI-Rの開放性との間に, 一貫して正の相関が認められた. なお, 遊戯性と開放性の間には高い相関があり, 両者は同一の特性であると推測される. ERSはまた, 遊戯性·開放性の下位特性のいくつかとも関連することが示唆された. しかしながら, それらの下位特性の中にはアルファ係数が低いものが散見され, ERSと下位特性の関連については, 今後さらに検討を要することが示された.