本研究では,現代大学生の自己形成を理想自己の観点から捉えることを目標とし,質問紙により尺度評定と自由記述とを絡めた検討を行った.本研究では,「自己形成」を“理想自己実現に向かっていこうとする意欲と実際に向かっているという行為の総体(理想自己志向性)”として規定し,得点化した.この得点と適応感を測定するための自尊感情得点との組み合わせから自己形成の8つのパターンを作成し,個人が重要とする理想自己に対する6つの意味づけのパターンと実現に向けての具体的方略およびその希求の相違についての検討を行った.その結果,理想自己志向性としての自己形成の高さには,意味づけにおける自己/他者の違い,方略の有無ならびに実行率が関係していることが示された.