本研究は,日本人大学生の心配の構造について検討することを目的とした.初めに,一般的な心配を測定することのできるWDQの日本語版を作成した.表現に修正を加えたWDQ日本語版を,208名の大学生に施行した.高い信頼性が確認されたが,因子的妥当性についてはさらに検討する余地が残った.次に,クラスター分析を用い,内容ごとの心配の傾向により分類をおこなったところ,ある内容に対して心配する人は同時に他の内容に対しても心配している,つまり特定の内容だけに対して心配するのではないことが明らかになった.また分散分析の結果から,種々の内容に対して心配する人ほど不安感を感じていることが明らかになった.因子分析およびクラスター分析の結果をまとめると,日本人大学生の心配は海外の一般成人の心配の構造とは同じような分化の仕方をしていない可能性が示唆された.