日本において標準化,出版されている3種類の5因子モデル性格検査(FFPQ版,BFPI版,NEO-PI-R版)を大学生263名に対して実施し,それぞれ次のような対応関係を得た.1)FFPQ版「外向性」,BFPI版「外向性」,NEO-PI-R版「外向性」の3つの相互には, r =.691, .740, .777の高い相関係数が得られ,3尺度間に強い関連性が認められた.2)FFPQ版「愛着性」,BFPI版「協調性」,NEO-PI-R版「調和性」の相互には, r =.544, .635, .661の高い相関係数が得られ,3尺度間に強い関連性が認められた.3)FFPQ版「統制性」,BFPI版「勤勉性」,NEO-PI-R版「誠実性」の相互には, r =.769, .825, .829の高い相関係数が得られ,3尺度間に強い関連性が認められた.4)FFPQ版「情動性」,BFPI版「情緒安定性」,NEO-PI-R版「神経症傾向」の相互には, r =−.647, −.719, .809の高い相関係数が得られ,3尺度間に強い関連性が認められた.5)FFPQ版「遊戯性」とNEO-PI-R版「開放性」の間の相関係数は r =.655と高く強い関連性がみられた一方で,BFPI版「知性」とこれら2尺度間については有意ではあるものの低い相関係数を示した.このように4尺度については密接な相関的対応関係が見られ,第5尺度のFFPQ版「遊戯性」とNEO-PI-R版「開放性」に対してBFPI版「知性」の相関係数が相対的に高くないという結果は,引き続いてなされたジョイント因子分析や下位尺度の相関分析の結果においても裏付けられた.