タイプA行動パターンと学習動機づけ,勉強時間の関係が検討された.189人の中学1年生から3年生にタイプA尺度と学習動機づけの質問紙,勉強時間に関する質問が実施された.因子分析の結果,内的動機づけの因子,実用・職業志向的動機づけの因子,手段的動機づけの因子の3因子が抽出された.この3つの因子とタイプAの相関が算出された.中学1年生では内的動機づけ,実用・職業志向的動機づけ因子との関係が比較的高かったが2年生になるとどの動機づけ因子との相関関係もみられなくなった.中学3年生になると手段的動機づけとタイプAとの間にある程度高い相関係数がみられるようになった.勉強時間に関していえば1年生から3年生までの勉強時間をグラフに描くとU字型の曲線になった.つまり,中学2年生になると1年生より勉強時間が減少し,3年生になると再び増加に転じた.ただ,タイプA者は非タイプA者に比べ2年生での減少幅が小さく,また,3年生では非タイプA者と同じように勉強時間を増大させていたため,結果的に3年生でも勉強時間は長くなっていた.以上の結果から,タイプA者は非タイプA者より時間的な切迫感が強く受験に対しても早くから意識し達成的な行動をとる可能性が考察された.