本研究の目的は,日常的解離尺度(短縮6項目版),日常的分割投影尺度(短縮8項目版)の構成概念妥当性を検討することであった.大学生325名(平均年齢19.47歳)を対象に日常的解離尺度,日常的分割投影尺度,精神的健康調査票 (GHQ),解離性体験尺度(NDI,DES–Tに分類)を実施した.相関分析の結果,日常的解離尺度においてはGHQ, NDI, DES–Tとの相関係数,またその大小関係から収束的弁別的証拠が得られ,ある程度の構成概念妥当性が示唆された.しかし日常的分割投影尺度についてはGHQ, NDI, DES–Tとの相関係数の大小関係が明確でなく,さらには日常的解離尺度との関連においてもやや高い相関があったことから,十分な弁別的妥当性を確認できたとはいえなかった.よって今後は,日常的分割投影尺度を更に精緻化していく必要性が示された.